[Alveolar ridge augmentation by tissue engineering].

補綴治療の目的には,歯 の喪失によって低下 した口腔 機能の回復がある。欠損部 と残存歯の状態,欠 損様式等 の種々の状況 を十分 に考慮 した うえで,架 橋義歯,可 撤 式義歯,イ ンプラン ト等により口腔機能の回復を行 う。 しかし,顎 堤が低位 あるいはまた狭小な場合は,補 綴治 療のみで口腔機能の回復 を行 うことが困難 なことも多 い。 このような症例においては,補 綴治療の前処置とし て,骨 移植やGBR法 等の外科的手法を用いて顎堤の増 量が行われている。現在,こ れらの手法によって顎堤 を 増量 させ ることは可能ではあるが,よ り効率が良 く,簡 便かつ確実な顎堤の増量法の開発が望まれている。 元来生体 には自己修復力がある。両生類のイモリにお いては,四 肢や顎を切断除去 して も完全に再生復元す る ことが知 られてお り,イ モリには強力な自己修復力があ る。この自己修復力は動物種により異なる。 ヒ トにはイ モリのような強力な自己修復力はないもののある程度の 自己修復力は備わっているので,創 傷は治癒 し骨折部は 癒合す る。 このように生体に元来備わっている自己修復 力を積極的に活用 して,組 織を再生復元す る組織再生法 が近年注目されている。骨組織において も,組 織再生法 を応用 した多くの試みが報告されている。本稿において は,骨 組織において試みられてきたさまざまな再生法に 関 して,わ れわれの最近の実験結果を含めて概説すると ともに,そ れぞれの骨再生法の顎堤増加への応用に関 し て筆者の考えを述べ る。 II.GBR法